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ドイツミュンヘンで開催 電子部品・製造機器の展示会Productronica
Aalto Internationalでは、今後、世界で開催される主要な展示会に関して、現地でのレポートを含めてご紹介していきます。
今回は、2015年11月10日から13日までドイツミュンヘンで開催された電子部品・製造機器の展示会Productronica(プロダクトロニカ)の様子をお届けします。南ドイツにおけるインフルエンサーリレーションを担当しているマリーイサベル、ニコがレポートを担当します。前編では、展示会で展示されたトレンドを、後編では、展示会における企業の戦略をご紹介します。
プロダクトロニカ展とは
プロダクトロニカ展は、世界を代表的する最新のエレクトロニクス製造機器に関する展示会です。1975年の創設以来、エレクトロニカ展と交互に、2年に1回開催され、今年で21回目の開催となります。プロダクトロニカ展は、この分野で最も重要な展示会として、広範囲に渡って業界をカバーするリーディングイベントとして確立されています。この展示会は、電子部品製造の将来のトレンドや発展についての予測に関して、先駆的な手引きとなることで知られています。40カ国1168社の出展企業と80カ国38,000名の訪問者が参加したこの展示会は、多くの企業にとって、将来に向けた新しい戦略を編み出し、商談を行うためのビジネス環境となっています。
2015年のプロダクトニカ展の特徴
今年は、2015年11月10日から13日までドイツミュンヘンの会場にて開催されました。今年の注目としては、新しいセクターの分類方法が導入され、元々19の異なるセクターで構成されていたものが、バリュー・チェーンをテーマに、SMT 群、PCB・EMS群、半導体群、ケーブル・コイル・ハイブリッド群、将来市場群の5つの主要群にまとめられました。SMT群において注目すべき内容としては、スマートファクトリー、インダストリー4.0 (第4次産業革命)への移行期に重要な位置を占めるロボットに焦点を当てていたということです。これに加えて、拡張・仮想現実についても今年のトレードフェアにおける目玉となっていました。
インダストリー4.0:人間とロボットの協働から機械間通信まで
今回、特に注目されたこととしては、インダストリー4.0でした。2009年のプロダクトロニカ展では既に『self-organized production』という特別展示がありました。今や話題となっているインダストリー4.0ですが、その大きな目標のひとつは、最終的に自動制御工場を作ることでスマート・ファクトリーと呼ばれる製造ライン全てを人間の力を頼らずに自立制御できる状態といわれます。それは機械間での直接通信 (M2M) によって、単純適応性、資源効率性、そして製造プロセスの透明性につながるといわれています。もうひとつの大きな利点は、パートナーと顧客を、事業と価値の創造プロセスに組み込める可能性があるということです。未来の工場はデジタルで世界とつながり、全ての必要な作業が相互連結されることで最適化されると予想されています。
プロダクトロニカでは、将来の製造業のポジティブな側面と今後の可能性についてのレクチャーや、製造方法の変化によって発生する安全保障上のリスクについて事例紹介を含むレクチャーも展開されました。
『Electronics Production Augmented』 という特別展示では、インダストリー4.0の未来を体験することができました。機械が扱う複雑な過程がタブレットとスクリーン上で視覚化され、iPadをその部分にかざすだけで機械の中を見ることができ、欠陥がある可能性のある場所を特定し、素人でも問題を修復できるようにソフトウェアが示してくれるなど、未来のあり方を体験できる展示でした。
注目を集めるロボティクス
今年の展示会では、ロボティクスについての注目が集まっていました。絶え間ない競争や大量生産が着実に増えて続けているのは、各企業が製品をより早く、より安く、そしてより良く作り上げなければならないことの帰結であると考えられます。ロボットは常に同品質のものを生産し、疲れることなく、人間ができることと比べると達し得ないほど正確に作業をします。既に、自動車産業では、ロボットは長い間組立ラインで多く使われています。Kurtz-Ersaという企業は、外部からの予測できない物理的な接触があると即座に動きを停止する『Roboplace』という画期的なロボットを発表しました。このような技術革新によって、製造過程において、ロボットは安全な協力者として、狭い場所で人間と協力しながら作業するのに適するものとなってきましたます。ロボットはまた中堅企業の興味を引き、ロボット製造会社にとっては市場を拡大しています。今後何年かにおいて、ロボットは製造過程でなくはならないものとなり、さらにその重要性を増していくことになると考えられます。
自動車産業とエレクトロニクス
現代の自動車1台の80%は電子部品から出来ていると言われ、自動車エレクトロニクスは、今後さらに重要性を増すと考えられます。さらに、より多くの電子部品が車内の狭い空間にフィットしなければならなくなるため、小型化がトレンドとなると言われています。自動車産業にとって、もうひとつ重要なことは『IoT』です。自動車部品はさらに自動制御されていき、長い目で見れば、自動車は動くロボットのように自動運転されることになるでしょう。今、多くの企業が車両とインターネット間の相互作用を最適化させることに取り組んでおり、サイバーセキュリティ問題にも注意を向けています。自動運転は、ロボティクスとあわせて「インダストリー4.0」の一部に関わるように、今回の展示で展開された各セクターは互いに重要な関わりを持ち始めています。
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