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スイス・イノベーション・パークでの協働を通して、社会問題解決に取り組んでいく  ーNTT・NTT Comとシーメンスの協業による実証実験開始にあたってー

Blog post   •   Feb 16, 2021 04:14 GMT

2020年には、AI、グリーンモビリティなどの先端技術分野で、スイスと日本企業の協業の可能性を取り上げてきました。世界中の企業が優秀な人材を求めて、先端技術研究機能をスイスに展開し始めており、スマートファクトリーの分野においても、スイスのイノベーション・パークで世界の最先端技術を扱う企業間のプロジェクトが立ち上がっています。

日本・スイス間の企業の協働を推進するスイス・ビジネス・ハブ 投資促進部の松田氏は
「グローバルでの社会課題の解決に対して、企業間で協働しながら取り組む場として、スイスは大きな可能性を持っています。スマートファクトリー分野では、スイス北部のスイス・イノベーション・パーク・ビール / ビエンヌを中心に新しいプロジェクトが立ち上がっています」と紹介しています。

実際に、スイスではどのような協働事例が生まれているのでしょうか。

今回、2020年12月にスイスでの実証実験開始を発表したNTTコミュニケーションズ株式会社ビジネスソリューション本部 事業推進部 スマートファクトリー推進室と、日本電信電話株式会社ソフトウェアイノベーションセンタのチームに取材の機会をいただきました。

NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)
ビジネスソリューション本部 事業推進部 スマートファクトリー推進室
製造業向けDX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューションの企画・開発を担当。秘匿性の高いデータを安全に流通させるNTTの”DATA Trust® ”構想を具現化した業界協調型デジタルプラットフォームと、各社のコアコンピタンスにおけるDXソリューションで製造業のデジタル改革の加速に取り組んでいます。https://www.ntt.com/business/dx/smart/factory/

日本電信電話株式会社(以下、NTT)
ソフトウェアイノベーションセンタ
ソフトウェア、データの流通に携わる研究開発を担う研究所。IoT/AIサービスの発展を支える革新的基盤技術創出に向けて、モデリング、データ活用分析、クラウド・IT基盤構築・運用、ソフトウェア開発・運用支援の4つの領域を中心とした研究に取り組んでいます。
https://www.sic.ecl.ntt.co.jp/

企業や国境の壁を超えたデータ流通を安心、安全に行えるICTインフラ整備のり組み

世界の企業・政府・国際機関は、データ流通によるイノベーションを促進するため、様々な戦略やアーキテクチャーの構築に取り組んでいます。しかし、IoTデータなどに不可欠なセキュリティ、そしてデータの信頼性や権利保護と言った「データ主権」を保証し、国際的なデータ流通が安心、安全に行える仕組み作りが大きな課題となっています。

NTTとNTT Comでは、データの主権を守り、所有者を明確にし、利用履歴を取りながら、利用者との合意に基づいた閲覧範囲等の権限を管理し、企業間でデータを相互に適正に共有、利活用していく”DATA Trust®”という構想を実現する仕組みづくりに取り組んでいます。その対象となるデータは、工場内の生産データや、製造プロセスにおけるCO2排出量など環境負荷のデータのほか、物流、交通、都市、行政のデータなど多岐に渡ります。NTT Comは、サプライチェーンにおける様々なニーズや必要性に応じて、それらのデータを企業間で管理・共有、利活用していくことで、さらなるビジネスの創造や変革に繋げる可能性を目指しています。

NTT Com スマートファクトリー推進室長 赤堀氏は
「NTTグループでは、お客様が安心・安全にデータを共有、利活用出来る仕組みを提供し、コミュニケーションを促進することをミッションとしており、国内だけではなく、サプライチェーンが世界に拡がる製造業のニーズに対応すべく、グローバルでも安心安全なコミュニケーションを実現しようとしています」と語っています。

新しいビジネスを創出する場としてのスイス

2020年9月、NTT Comは、スイス・イノベーション・パーク・ビール / ビエンヌにおいて、シーメンス社と協力し、低炭素・資源循環型経済への転換を目指した製造プロセス横断でのCO2排出量の可視化等に関するデータ流通の実証実験に着手しました。欧州のデータ基盤「GAIA-X」のコア技術「IDSコネクター」と、”DATA Trust®”を具現化したNTT Comの「Smart Data Platform withTrust」との接続を実験する取り組みです。

NTT Comスマートファクトリー推進室が新たなソリューションを開発するために協働できるパートナーを探していたところ、2019年6月に展示会でスイス・イノベーション・パーク・ビール / ビエンヌを知ったことがきっかけとなり、スイスの可能性に関心を持ち始めたといいます。スイス・ビジネス・ハブに協力を得ながら現地訪問によって情報を収集し、そこでLighthouse Project Industry 4.0という今回の協働企業となったシーメンス社など、複数のグローバル企業が協働するプロジェクトに出会えたということでした。

スイス・イノベーションパーク・ビール / ビエンヌ訪問時の様子



NTT Com チーフコンサルタント宮田氏は、スイスでの実証実験実施の理由について

「スイスを実証実験の場として選んだ理由は主に3つあります。1点目は、スイスには、製造業を軸とした最先端企業のネットワークがあること。精密機器製造が盛んであるという背景も有り、製造業や製造業向けソリューション企業が集まっており、今回シーメンス社など最先端の技術を持った企業と協働できることには、大きな意味がありました。
2点目としては、スイスでは、SDGs、環境問題、サーキュラーエコノミーなど、社会課題への意識が高いことも挙げられます。現地訪問を通じて、社会的課題のテーマに取り組むには良い場所だと実感しました。今後、重要になる社会的課題、脱炭素などのテーマとも組み合わせて、データ流通を通して製造業の変革支援に取り組んでいきたいと考えています。
最後に、3点目として、Proof Of Conceptの実施環境や支援体制が整っていたことです。実証実験にあたっては、スピード感を持って進めることができ、早い段階で方向性が正しいことを確認することができました。ヨーロッパの中央に位置するスイスは、EUには非加盟でありながら、中立的な立場で世界中から先端技術を扱う研究者や企業が集まっている魅力的な環境でもあります」と語っています。

さらに、実証実験の実施を担当したNTT 主任研究員 神谷氏は
「今回のプロジェクトは、国際的な製造業企業が技術や製品を持ち寄って、最先端の実験的なスマートファクトリーを作り、そのIoTデータを国境を越えて共有し利活用するというものです。その中で、私達は、企業間のデータ流通に関する実証実験を通して、パートナー企業とともに、高い水準の試験環境の中で、プロトタイプシステムの実用性、運用性、どのようなビジネスに適用できるのかを検証できる機会を得ました。コロナ禍で国際的な移動制限があるなかでも、スイス側から強く背中を押してもらい、パートナー企業とワークショップをオンラインで実施するなど、スイス現地の工場とリモートで繋いで実証実験を開始することができました」とスイスでの協働について語っています。

Lighthouse Project Industry 4.0

世界の企業と知見を持ち寄り、社会課題の解決に取り組んでいく

NTT Com 赤堀氏は
「今回の取り組みを皮切りに、プロジェクトに様々な技術を持ち込んで、さらに実証実験を進めていきたい。今後はスイス、日本、世界中のグローバル企業とも仲間として、データの流通というアプローチから、共に社会課題に対してイノベーションを創造していきたいと考えています」と力強く語っています。

Swiss Smart Factoryの責任者であるDominic Gorecky氏は
「データ共有の未来について、世界をリードする企業 NTTと協力して、GAIA‑XおよびInternational Data Spaces Associationの活動と結び付けることを、私達は大変嬉しく捉えています」と述べています。

スイス・イノベーション・パーク・ビール / ビエンヌのSwiss Smart Factoryでは、NTT・NTT Comが上記の活動を展開しているほか、ファナック株式会社や株式会社安川電機など、日本を代表する大手企業がメンバーとなっており、スマートファクトリー分野における企業の参画を歓迎しています。

Lighthouse Project Industry4.0 参加企業 ©一般社団法人ジャパンイノベーションパーク



(話)NTT Com 赤堀氏、境野氏、宮田氏、NTT 神谷氏、
(聞き手)スイスビジネスハブジャパン松田氏、Aalto International Japan 福井

お問合せ

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スイス・ビジネス・ハブ 投資促進部へご相談ください。

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